言い伝えによると、空海が唐より帰朝して密教の教えを広めるための根本道場を建立する際に、適地を探すために空に向かって放った三鈷杵が、紫雲に乗って降り立った場所が高野山であったとされていて、その三鈷杵が掛けられていたという松は植え替えられながら今でも残っています。
人体には気の流れる通り道(経絡)があり、そこには経穴というポイントがあることはよく知られています。同じように、地球の表面にはエネルギーの流れる道が縦横に走っていて、それらが交差したり、または地表から湧出する場所にはエネルギー・スポット(パワー・スポット)という、特にエネルギーの高い場所があります。
そのような場所には社寺などの宗教施設が古くから建てられていたり、人の多く集まる都市や観光地などがあったりします。これらの点は互いに連結し合い、バランスをとりながらこの惑星を維持しているといわれています。
高野山もその点の中のひとつに間違いはないでしょう。百以上もの塔頭が並ぶ山の上(正確には盆地)はひとつの街を形づくっているように見えます。参拝の人々が絶えることがありませんが、弘法大師の御廟のある奥の院は、密教の最高の聖地と言われるほどに何とも言えぬ静けさに包まれ、強い霊気を放っているように感じられます。
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あまりに近いために
かえって見えにくいものは自分の心であり、
微細で目にはみえないけれども、宇宙に遍満しているのは
自分の心中の仏である。
– 弘法大師空海「秘蔵宝鑰(ひぞうほうやく)」巻下「第九極無自性住心」 –