その人

 

ある禅の老師によると、畳の上を歩く音を聴くだけでその弟子の修行の進み具合がわかるといいます。日常の立居振舞いの中にその人のすべてが表れるのだそうです。とくに絵画や造形として表現されるものには、その作者の本質的なものが隠されることなく顕れ出てしまいます。

 

作品や表現の質を高めていくためには、技倆を研鑽するのと同時にそこに現れる品性・品格というものを磨かなければならないということでしょう。横山大観は創造について次のように述べています。

 

 

 

人間ができてはじめて絵ができる。
それには人物の養成ということが第一で、
まず人間をつくらなければなりません。
-「大観画談」-